こんにちは!
公益法人・学会・業界団体を専門とする会計事務所、株式会社アダムズの堀井です。
今回は、いつもと思考を変えて考えるブログにします。
公益法人制度は、まだスタートして数年程度であり、判例なども少なく、実務上は、経験と実績に頼ることも多くあります。
それが弊社の強みでもあるのですが。
そのようなこともあり、弊社では、出来る限り公益法人関係の本が出版されたら購入し、他の専門家の考えも取り入れるようにしています。
そんな中、考えさせられる本がありましたので、それについて考えたいと思います。
ブログのタイトルにもあるように「総社員の同意による退社」についてです。
公益社団法人、一般社団法人の法人形態で学会や業界団体を運営している法人様の場合、定款に社員(会員など)の資格喪失の条件として掲載されているのではないでしょうか?
さて、ここで良く受ける質問ですが、ここいう総社員に辞めさせようとする社員(会員など)を含むのかどうか?ということです。
これについて「公益法人協会相談室によくある質問(341) 公益財団法人公益法人協会 編集・発行 2014年12月22日発行」の質問8によると辞めさせようとする社員(会員など)は含まないと明記してあります。理由として本人が同意しているのであれば、退会手続きをとれば済むことで、「強制的に退会させる」必要がないためとのことです。
確かに理屈としては分かります。
私も以前は、同じように考えていました。
しかし、考えてみると腑に落ちないことがあります。
一般社団法人は、社員2名で設立でき、設立後は、社員が1名になることも認めています。そうなると、本人の同意なく、その他の総社員の同意で社員を辞めさせることができるとなると、社員が2名だった場合、一方の社員が辞めろと言ったら、もう一方の社員は辞めなければならないのでしょうか?これは変ですし、社団性の意義に反している気がします。
また、辞めさせようとする本人の同意が不要であるならば、なぜ法令でそのように記載しなかったのでしょうか?
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律では、他にも多数の条文で「総社員」という文言を使用しています。同じ法律の中で同じように「総社員」という文言を使用しておきながら、条文により「総社員」の内容が異なるというのは、違和感があります。
実務で「総社員の同意による退社」を適用した法人を見たことはありませんが、今後の実務事例や判例等には注意が必要な箇所かと思います。
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