【公益法人の役員の説明義務】

公益法人,説明義務

本記事の対象者

本記事は、「公益社団法人」「公益財団法人」「一般社団法人」「一般財団法人」の事務局の方、理事及び監事の方向けの記事となります。

なお、本記事内では、「公益社団法人」「公益財団法人」「一般社団法人」「一般財団法人」を総称して「公益法人」と記載し、「公益社団法人」と「一般社団法人」を総称して「社団法人」、「公益財団法人」と「一般財団法人」を総称して「財団法人」と記載しています。

本記事の概要

本記事は、理事及び監事の社員総会・評議員会での説明義務について解説しています。

また、説明義務が免除される場合についても説明を行います。

なお、理事及び監事の説明義務は、社員総会・評議員会への出席義務とも関連を有しますので、以下の記事も参考にしてください。

【公益法人の役員の出席義務】

社員総会・評議員会での説明義務

理事及び監事は、社員総会・評議員会での説明義務があります。

以降、理事と監事のそれぞれについて説明義務を解説します。

理事の説明義務

理事は、社員・評議員が社員総会・評議員会での報告事項や決議事項の内容を理解し、議決権を行使するにあたり合理的な判断できるような説明を行う必要があります。そのため、専門的知識を有している社員・評議員だけが理解できるような説明ではなく、一般的な社員・評議員が議題を理解し、議決権を行使する合理的な判断をするために有用となるような説明を行う必要があると考えられます。

監事の説明義務

また、監事については、理事とは職務内容が異なるため、監事の説明義務は範囲が異なるものと考えられます。

具体的には、社員総会・評議員会への監査報告等について説明を行い、当該報告に対して社員・評議員から理解するために必要となるような事項について質問を受けた場合に説明を行うことになります。

なお、監事が社員総会・評議員会の決議事項のうち、監事の同意が必要となる議案について質問がされた場合は、同意した理由に関する情報提供が必要となります。

前項までで理事及び監事の説明義務について解説しましたが、以下に記載する正当な理由がある場合には説明義務が免除されます。

  1. 説明を求められた事項が社員総会・評議員会の目的である事項に関しないものである場合
  2. その説明をすることにより社員の共同の利益を著しく害する場合(社団法人のみ)
  3. 当該事項の説明のために調査必要となる場合で、以下のいずれにも該当しない場合
    • 社員・評議員が社員総会・評議員会より相当の期間前に説明を求める事項を法人に通知した場合
    • 説明をするために必要な調査が著しく容易な場合
  4. その説明をすることによりその法人その他の者(当該社員・評議員を除く。)の権利を侵害することになる場合
  5. 社員・評議員が当該社員総会・評議員会において実質的に同一の事項について繰り返して説明を求める場合
  6. 上記のほか社員・評議員が説明を求めた事項について説明をしないことにつき正当な理由がある場合

なお、上記の2の「その説明をすることにより社員の共同の利益を著しく害する場合」という免除理由については、財団法人には適用されません。これは、社団法人の社員と財団法人の評議員の地位の違いによるものです。

本記事では、公益法人の理事および監事が社員総会や評議員会で果たすべき説明義務について詳述しました。

理事は、社員や評議員が合理的な判断を行うために必要な情報を提供する責任を負い、監事は監査報告や必要な議案に関する情報を明確に説明する義務があります。

さらに、正当な理由に基づいて説明義務が免除される場合についても説明しました。

公益法人の運営にあたり理事及び監事の説明義務というテーマは、あまり気にすることない論点かと思われます。しかし、議場を荒らす社員が存在する場合や社員間や評議員間での対立が生じている場合などは、説明義務の免除される正当な理由についての知識も必要となります。

本記事が、理事及び監事の説明義務についての理解に役立ち、適切な法人運営の一助となれば幸いです。

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この記事の監修者

               

株式会社アダムズ/堀井公認会計士事務所
代表取締役 堀井淳史
公認会計士・税理士・行政書士

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