公益法人の特定費用準備資金とは
2022年6月に公益法人information上で「特費のすすめ」という公益法人の特定費用準備資金についての広報資料が公開されました。
ここで、当該公表資料は、以下の内容が記載されています。
- 特定費用準備資金の積立要件
- 具体的な積立例の紹介
- Q&A
以下、当該記載内容のうち、特定費用準備資金の積立要件と具体的な積立例について概要を解説します。
特定費用準備資金の積立要件
まず、公益法人は、財務三基準という財務基準を毎期満たす必要があります。
そして、財務三基準を満たすことが出来ない場合は、特定費用準備資金という積立金の積立を行うことにより当該要件を満たすことが可能となります。
財務三基準を満たさない場合の対応策については、以下の記事が参考となります。
ここで、特定費用準備資金は、どんな積立でも認められるということはなく、以下の要件を満たす必要があります。
- 資金の目的である活動を行うことが見込まれること
- 資金の目的毎に他の資金と明確に区分して管理され、貸借対照表の特定資産に計上してい ること
- 資金の目的である支出に充てる場合を除くほか、取り崩すことができないものであること又は目的外で取り崩す場合に理事会の決議を要するなど特別の手続きが定められていること
- 積立限度額が合理的に算定されていること
- 特別の手続の定め、積立限度額、その算定根拠について事業報告に準じた据置き、閲覧等 の措置が講じられていること
具体的な積立例の紹介
積立例としては、以下の3区分に分けて説明がなされています。
- 将来の費用支出の増加が見込まれる場合
- 将来において見込まれている収支の変動に備える場合
- 専ら法人の責に帰すことができない事情により将来の収入が減少する場合
以下、上記の概要を解説します。
将来の費用支出の増加が見込まれる場合
まず、将来の費用支出の増加が見込まれる場合の積立方法について解説します。
ここで、当該積立を行うポイントしては、対象は新規事業の開始や既存事業の拡大、数年周期で開催されるイベントや記念事業などが想定されます。
また、積立可能な期間は最長10年を目安とし、期間の変更は、原則1回限り(やむを得ない理由を除く)としています。
以下、積立例となります。
将来において見込まれている収支の変動に備える場合
次に、将来において見込まれている収支の変動に備える場合の積立方法について解説します。
ここで、当該積立を行う場合のポイントは、対象は既存事業の維持が想定され、過去の実績や事業環境の見通しを踏まえた活動見込みや限度額の見積もりが必要となります。
また、積立可能な期間は5年間を想定し、翌事業年度以降5年間での収入の減少見込みに関する合理的な説明に基づき、その範囲内で積立と取崩しを行うことになります。
以下、積立例となります。
専ら法人の責に帰すことができない事情により将来の収入が減少する場合
最後に、専ら法人の責に帰すことができない事情により将来の収入が減少する場合について解説します。
ここで、当該積立を行うポイントとしては、対象は既存事業の維持であり、積立限度額の合理的な算定にあたり、理事会等における認識を踏まえた、収入の減少の蓋然性の高さの説明が必要となります。
以下、積立例となります。