【公益法人の連座制と対応策を解説】

公益法人,連座制

記事の対象者

本記事の対象者は、「公益社団法人」及び「公益財団法人」に関与している事務局の方や理事、監事の方を対象としています。

なお、本記事中では、「公益社団法人」と「公益財団法人」を総称して「公益法人」と記載し、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」のことを「認定法」と記載します。

記事の概要

本記事では、いわゆる「連座制」という制度の説明と対応策について説明を行います。

連座制とは

まず、連座制について解説します。

理解促進のために公益法人Aと公益法人Bという2つの法人を前提に解説します。

公益法人Aの理事、監事及び評議員が、公益法人Bの業務を行う理事を兼務している場合、公益法人Bの公益認定が取り消されると、自動的に公益法人Aの公益認定も取り消されることになります。

このように公益法人Bの公益認定取消しが公益法人Aにも波及し、公益法人Aも公益認定取消しとなる制度を「連座制」といいます。

連座制の根拠

次に、連座制の法的根拠について解説します。

認定法では、理事、監事、評議員について欠格事由を定めています。

欠格事由とは、理事、監事、評議員にはなれない事由を定めたものであり、当該事由に該当する場合、公益法人の公益認定が取り消されることになります。

そして、欠格事由の1つに「公益法人が公益認定を取り消された場合において、その取り消しの原因となった事実があった日以前1年内に当該公益法人の業務を行う理事であった者でその取り消しの日から5年を経過しない者」と定められています。

当該欠格事由は、公益認定取消しの時点で適用があると考えられます。そのため、事例のケースでは、公益法人Bの公益認定が取消しとなった時点で、公益法人Bの業務を行う理事が公益法人Aの理事等を兼務している場合、この時点で公益法人Aの理事等の欠格事由に該当し、連鎖的に公益法人Aの公益認定も取消しとなります。

「業務」とは

ここで、欠格事由の対象となるのは、認定取消しとなった公益法人の「業務を行う理事」を兼務していた場合となりますが、「業務」とは何を指すのかが問題となります。

「業務」について、内閣府は、以下のような解釈をしています。

「業務」とは、「取消原因となった事実に係る業務」をいう。

したがって、公益認定の取消しとなった公益法人Bの理事ZがBの業務を執行する理事ではない場合や業務を執行する理事であっても取消原因となった事実に関する業務以外の執行を担当したいた場合などは、「取消原因となった事実に係る業務」に該当しないため、欠格事由には該当せず、連座制も適用されないことになります。

なお、上記のように「業務」を解釈したとしても、代表理事については、「取消原因となった事実に係る業務」に関与していないと言うことはできません。

したがって、公益認定取消しとなった公益法人Bの代表理事Xが公益法人Aの理事等を兼任している場合は、公益法人Aも自動的に公益認定取消しとなるため、注意が必要となります。

このように、公益法人の連座制は、非常に強い効果のある制度となっています。

そのため、当該連座制により公益認定取消しとならないようの対応が必要となります。ここでは、事前の対応と事後の対応に区分し、解説を行います。

事前の対応

最低限実施すべき対応としては、役員の改選時に必ず欠格事由のチェックをすべての理事等に実施するとともに、履歴書及び兼職届をすべての理事から提出を求めます。

よく質問を受ける内容として、「兼職届の入手は、新任の役員のみで良いか?」というものがあります。これについては、新任だけではなく、必ず現職の理事等からを含め全員から入手することを推奨しています。

なぜならば、理事等の兼職の状況は、日々変化している可能性があるためです。公益法人が知らない間に他の公益法人の代表理事になっていたということは当然にある話であるため、全員から確認を行うべきです。

可能であれば、チェックを行う期間も役員の改選時期だけではなく、年に1度などとすると良いですが、そちらについては費用対効果を勘案して検討する必要があります。

なお、当該兼職届は、役員の3分の1規定(同一の団体の理事、使用人等で理事等の3分の1を超える数を占めてはならないという基準)を確認するためにも有用となるため、必ず入手するようにしてください。

事後の対応

認定取消しの可能性がある場合、「公益法人インフォメーション」において「勧告書」が公表されます。当該勧告が行われるなど、公益認定取消しの可能性が少しでもある理事が兼任している場合には、当該理事を解任、あるいは辞任してもらう必要があります。

公益法人の連座制は、公益認定を取り消されるリスクが非常に高いため、慎重な対応が求められます。欠格事由の確認を怠ることなく、定期的なチェックを実施することで、予期せぬ認定取消しを未然に防ぐことが重要です。事前の対策として、全ての理事から履歴書と兼職届を入手し、役員改選時に限らず定期的に確認することが推奨されます。また、認定取消しの可能性がある場合には、迅速に対応し、問題となる理事の解任や辞任を行うことが必要です。これらの対策を徹底することで、公益法人の健全な運営を維持し、連座制のリスクを最小限に抑えることが可能となります。

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この記事の監修者

               

株式会社アダムズ/堀井公認会計士事務所
代表取締役 堀井淳史
公認会計士・税理士・行政書士

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