【公益法人の役員の出席義務】

公益法人,出席義務

本記事の対象者

本記事は、「公益社団法人」「公益財団法人」「一般社団法人」「一般財団法人」の事務局の方、理事や監事等の役員の方を対象にしています。

なお、本記事では、「公益社団法人」「公益財団法人」「一般社団法人」「一般財団法人」を総称して「公益法人」と記載します。

本記事の概要・出席義務とは

本記事では、公益法人の理事や監事の理事会や社員総会(社団法人)、評議員会(財団法人)へ出席義務について解説を行います。

また、理事や監事が理事会等に出席しなかった場合の理事会等の有効性についても検討を行います。

以降、理事会と社員総会・評議員会に区分し、解説を行います。

理事の理事会への出席義務

理事会は、すべての理事で構成され、公益法人の業務執行の決定や理事の職務執行の監督、代表理事の選定及び解職等を行う機関となります。

各理事は、当然に理事会への出席義務を有しています。

また、理事会の決議は、原則として、議決に加わることができる理事の過半数が出席して、その過半数で行うことになります(これを上回る割合を定款で定めることも可能です)。そのため、仮に一部の理事が理事会に出席しなかったとしても「議決に加わることができる理事の過半数が出席」しているのであれば、理事会は有効となります。

監事の理事会への出席義務

次に、監事の理事会への出席義務について解説します。

監事も理事と同様にすべての理事会への出席義務があります。

監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければなりません。このように理事会への意見を述べるために理事会への出席が義務となります。

ここで、議題が監事と関係がなさそうな内容であったとしても出席義務を有することになるため、注意が必要となります。

これは、監事は、理事会に出席し、公益法人の運営を把握し、理事会において違法又は著しく不当な決議を防止し、理事等を監視する必要があるため、理事会の決議内容がどのようなものであっても、理事会への出席が必要となります。

なお、理事会として監事に出席の機会を与えたにも関わらず、監事が欠席した場合は、理事会の決議の手続きに瑕疵があるとは言えないため、理事会は有効となります。

一方、監事の理事会の招集通知に不備があった場合や監事の通知があまりにも直前で実質的に監事が出席することが出来ないような状況であった場合には、理事会の決議の手続きに瑕疵があると判断され無効となる可能性があります。

社員総会は、社団法人の社員で構成される最高意思決定機関となり、評議員会は、財団法人の評議員で構成される最高意思決定機関となります。

社員総会・評議員会において理事及び監事は、構成員ではありません。また、理事及び監事の社員総会や評議員会への出席義務を直接定めた法令等はありません。

しかし、理事及び監事は、社員総会・評議員会において説明義務を有しており、特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明を行う必要があります。

社員総会や評議員会では、どのような質問がなされるか分からないため、当該説明義務を果たすためには、すべての理事及び監事が出席することが原則となります。

ただし、出席している理事及び監事のみで求められた説明が全て果たせたのであれば、説明義務違反とはならないため、社員総会や評議員会の決議が取消しとなることはありません。しかし、欠席した理事でないと説明できない質問が生じた場合は、説明義務が果たされておらず、決議の方法に法令違反があるとし、決議が取り消される可能性があることに留意が必要となります。

前項までで説明したように理事及び監事は、理事会、社員総会、評議員会に出席する必要があります。

ここで、理事会等の会場に直接行くことができない場合であってもWeb会議システムや電話会議システムを利用することにより理事会等の会議に参加することにより出席として取り扱われます。

ただし、Web会議システムや電話会議システムでは、会場で出席する場合と同様に意思疎通が可能であり、議論できる環境を整備できることが前提となります。

公益法人の理事及び監事は、理事会に対する出席義務があり、かつ社員総会や評議員会での説明義務を満たすために出席が必要となります。

理事及び監事には、理事会等に出席が可能な方を選定する必要があります。また、理事会等の開催にあたり、開催日時等の調整を早めに行い、可能か限り全員が出席できるように調整を行う必要があります。

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この記事の監修者

               

株式会社アダムズ/堀井公認会計士事務所
代表取締役 堀井淳史
公認会計士・税理士・行政書士

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