公益法人の会計に関する諸課題の検討状況について

こんにちは!
公益法人・学会・業界団体を専門とする会計事務所、株式会社アダムズの堀井です。

内閣府より「公益法人の会計に関する諸課題の検討状況について」が公表され、3月12日付で意見公募が終了しました。

概ね内容は確定したと判断できますので(おそらく)、内容の概要をBlogで記載したいと思います。


重要な内容としては以下に要約しました。


1.財務状況の悪い公益法人の場合、法人会計をある程度黒字にすることが間接的に認められることが明らかになりました(どこまでOKかは明確にされていませんが、合理的な説明があればOKと判断)。


2.公益目的事業のみを行う法人で、法人会計を黒字にしなくても良い法人は、正味財産増減計算内訳表の作成を省略可能。ただし、上記1の関係から作成した方が良いと考えられます。


3.正味財産増減計算書内訳表の期首残高と期末残高は、公益目的事業会計、収益事業等会計、法人会計の単位で開示すれば良いことが明示されました。


4.収支相償を満たさない場合、今までは、翌年度に使用する計画を立てるか、特定費用準備資金等の積立金の検討が必要でしたが、翌々年度までに解消すれば良いことになりました。


5.実務上、曖昧であった収支相償を満たすために、公益目的保有財産として金融資産の取得が認められるかという疑義がありましたが、一定の条件付で認められることが明記されました。条件は、以下の4つです(実務的には難しい要件のような気もします)。

(1)事業拡大に関して、実物資産ではなくて金融資産を取得して業務を拡大する必要性が明確なこと

(2)事業拡大の内容が具体的になっており、それが事業計画等として法人において機関決定等(理事会等の承認、決定)を受けていること

(3)運用する金融資産について、その内容及びこれから生じる運用益の見込額が妥当であること及び運用益が事業拡大の財源として合理的に説明できるものであること(事業拡大に伴う費用と運用益のバランスが適当であること)

(4)その他、事業の財源として、剰余金を用いることについて望ましい理由があること 等


6.地震、火災等災害に備える資金を特定費用準備資金とすることは認められていませんが、災害救援事業を定款で目的としている法人が、災害等発生時に緊急支援のための備えを過去の実績や類型等から合理的に見積もることができる場合には、特定費用準備資金の要件を満たすものとして認められることになりました。


7.将来の収支の変動に備えて、過去の実績等に基づく活動見込み額等の見積りが可能などの要件を満たした場合、特定費用準備資金として積立可能(特定費用準備資金の積立要件が緩和?)


8.前事業年度以前において公益目的保有財産を取り崩した場合に、当該事業年度の剰余金を公益目的保有財産とするためには、将来の事業拡大のためなど説明が求められることが明確になりました。


9.指定正味財産として計上するために必要となる使徒の定めとして「公益目的事業の◯◯事業に使用して欲しい」というように具体的に使徒が定まっている場合だけでなく、「公益目的事業のために使ってほしい」という使徒の定めであっても寄付者又はその関係者の意思を確認することができる場合や法人内部の規程等により具体的な事業に特定する又は配分することができる場合も該当することが明確になりました。一方、「公益法人のために使用して欲しい」というような使徒の定めの場合には、指定正味財産に該当しないことが明確になりました。


10.指定正味財産の運用益については、運用益について具体的な使徒の制約があるもののみ指定正味財産として取り扱い、それ以外は、一般正味財産として扱うことが明記されました。


11.指定正味財産とした寄附金を合理的な理由もなく支出せずにいる場合、一般正味財産に振り返ることが明記されました。


12.公益目的事業以外の事業から公益目的事業の赤字を補填した場合、当該補填額は、公益目的取得財産残額を構成することが明記されました。



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この記事の監修者

株式会社アダムズ
代表取締役 堀井淳史
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